「所得税の予定納税」—個人事業主が知っておくべき仕組みと対策
2024/11/28
個人事業主にとって、所得税の予定納税は避けて通れない手続きです。
予定納税は、1年間の所得税を年3回に分けて前払いする仕組みで、特に前年の所得が高かった場合には負担が大きくなることがあります。
この仕組みを正しく理解し、事前に準備しておくことで、資金繰りを安定させ、税金の支払いに対応しやすくなります。今回は、予定納税の概要、支払い方法、節税対策について詳しく解説します。
1. 所得税の予定納税とは?
予定納税とは、前年の所得に基づいて計算された所得税の一部を、7月と11月に2回に分けて支払う制度です。
確定申告時に納税額が確定する前に、あらかじめ税金を納める仕組みで、納税額が多い場合には翌年の1月から3月に追加で支払うことになります。
a. 対象者
前年の所得税額が15万円以上の場合、予定納税の対象となります。
この金額は、前年の申告時に納めた所得税額を基準に計算されます。
b. 納税額の計算方法
予定納税額は、前年の所得税額の3分の1ずつを、2回に分けて納付します。
例)前年の所得税額が30万円の場合:
- 7月の予定納税額:10万円
- 11月の予定納税額:10万円
- 確定申告時に残りの税額を清算
2. 予定納税の支払い方法
予定納税は、国税庁から送付される納付書や、電子申請を通じて支払うことができます。
期限内に納付しない場合は、延滞税が発生するため、期日を守ることが大切です。
a. 納付書による支払い
税務署から送付される納付書を使用し、銀行や郵便局、コンビニエンスストアで支払います。
b. e-Taxでの支払い
e-Taxを利用することで、オンラインで予定納税を完了できます。特に時間が限られている場合や、ペーパーレスで管理したい場合に便利です。
c. クレジットカード納付
クレジットカードを利用して納税することも可能です。ポイントが貯まるメリットがありますが、
カード手数料がかかる点に注意しましょう。
3. 予定納税の軽減や免除の申請
予定納税額が大きく、現状の所得や収支が前年と大きく異なる場合、
軽減や免除の申請を行うことができます。
a. 減額申請の条件
予定納税額の減額申請は、以下の条件を満たす場合に認められます。
- 今年の収入が前年より大幅に減少している
- 事業に大きな支出や損失が発生している
b. 申請手続き
「予定納税額の減額申請書」を作成し、税務署に提出します。
申請期限は、7月分については7月15日まで、11月分については11月15日までです。
c. 注意点
減額申請が認められるためには、現状の収支を示す資料や証拠が必要です。
不十分な申請は認められない場合があるため、事前に税理士に相談するのがおすすめです。
4. 資金繰りのための計画的な準備
予定納税の負担を軽減するには、計画的な資金準備が欠かせません。
税金を前払いするため、特に資金繰りがタイトな場合は事前の対策が必要です。
a. 収支を見直す
事業収支を月ごとに確認し、予定納税分の資金を確保しておくことが重要です。
売上が一時的に増えた場合でも、全額を使い切らずに納税分を貯蓄しておきましょう。
b. 税金専用の口座を作る
納税専用の銀行口座を作り、毎月の収入から一定額を積み立てておくと、予定納税の資金を管理しやすくなります。
c. 節税対策を実行する
節税対策を行うことで、予定納税額を減らすことができます。
以下のような方法を活用して、課税所得を抑えましょう。
- 青色申告特別控除: 最大65万円の控除を受けられる
- ふるさと納税: 寄付額の控除を活用する
- 小規模企業共済: 将来の退職金を積み立てながら控除を受ける
5. 予定納税が不要な場合もある
予定納税の対象とならないケースもあります。自分が対象となるかを事前に確認し、無駄な手続きを省きましょう。
a. 所得税額が15万円未満の場合
前年の所得税額が15万円未満の場合、予定納税の対象にはなりません。
b. 新規開業者の場合
前年の所得がない場合、予定納税は発生しません。
ただし、翌年以降は所得に応じて予定納税が必要になる可能性があるため、収支管理を行いましょう。
6. 予定納税に関する注意点
予定納税をスムーズに進めるためには、いくつかの注意点があります。
a. 納付期限を守る
納付期限を過ぎると、延滞税が発生します。
支払いのスケジュールを事前に確認し、期限内に対応しましょう。
b. 収支が不安定な場合は早めに相談
収支が不安定で、予定納税の支払いが難しい場合は、早めに税理士や税務署に相談し、減額申請や支払い方法の変更を検討しましょう。
まとめ
所得税の予定納税は、個人事業主にとって資金繰りや納税計画に大きく影響を与える重要な制度です。
収支や事業の状況を正確に把握し、計画的に資金を確保しておくことで、負担を軽減しつつスムーズに対応することができます。
また、収入の減少など特別な事情がある場合は、減額申請を活用して適切に調整しましょう。
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