年末に向けた「固定資産の確認と減価償却」—個人事業主が押さえておきたい節税対策と来年の備え
2024/11/20
年末は、1年間の事業にかかる経費や固定資産の状況を確認するタイミングとして非常に重要です。
特に、**「固定資産の確認と減価償却」**の見直しを行うことで、節税効果を高め、翌年の経営計画も立てやすくなります。
固定資産を正しく減価償却することで、正確な帳簿管理ができるだけでなく、税負担を軽減することができるため、年末にかけて確認しておきましょう。
今回は、年末の固定資産の確認と減価償却の方法、そして節税対策について解説します。
1. 固定資産と減価償却とは?
固定資産とは、事業を行うために使用する長期的な資産のことで、主に建物、車両、機械、備品、パソコンなどが該当します。
固定資産は、購入時に全額を経費として計上するのではなく、減価償却という方法で、耐用年数に応じて毎年少しずつ経費として計上していきます。
a. 固定資産の確認の目的
固定資産の確認を年末に行う目的は、減価償却の対象となる資産を正確に把握し、来年の経費計上を適切に行うことです。また、老朽化して使用できなくなった資産があれば、その処分も検討しましょう。
b. 減価償却の目的とメリット
減価償却を行うことで、資産の購入費用を複数年に分けて経費計上でき、課税所得が減少するため、所得税や住民税の節税につながります。
さらに、資産の価値を逐年管理できるため、経営の計画を立てるうえでも役立ちます。
2. 年末に確認すべき固定資産のポイント
年末の固定資産の確認では、現在保有している資産の使用状況や耐用年数、残存価値をチェックします。
また、新たに購入した資産や、既に使用していない資産がある場合は、適切に帳簿へ反映させましょう。
a. 購入した資産の確認
この1年間に購入した固定資産があれば、購入日、購入価格、資産の種類を記録し、減価償却の対象として登録します。特に、設備や機械、事務所の備品など、事業で使用する資産は見落とさないようにしましょう。
- 記録項目: 資産の名称、購入日、取得価格、耐用年数
- 減価償却の計算対象: 取得価格が10万円以上の資産が減価償却の対象です(30万円未満の少額資産については、特例で一括経費化が可能)。
b. 使用していない資産の見直し
古くなって使わなくなった資産や、事業の終了により不要となった資産があれば、廃棄や売却を検討しましょう。
使用していない資産を帳簿に残していると、経理が煩雑になるだけでなく、管理コストもかかります。
- 資産の処分: 使用していない資産を廃棄または売却する場合は、除却損や売却損として計上し、帳簿から削除します。
- 減価償却の完了資産: 減価償却が終了している資産は帳簿に残しておく必要はないため、資産台帳から外すことができます。
3. 減価償却の計算方法
固定資産の減価償却には、定額法と定率法の2つの計算方法があり、事業内容や資産の種類によって適した方法を選ぶ必要があります。
a. 定額法
定額法は、毎年一定の金額を減価償却費として計上する方法で、耐用年数が長く安定的に使用される資産に適しています。
建物や事務所用の備品、家具などは、定額法で減価償却を行うことが一般的です。
- 計算式: (取得価額 - 残存価額)÷ 耐用年数
- 例: 取得価額20万円、耐用年数5年のパソコンであれば、年間減価償却額は4万円(20万円 ÷ 5年)となります。
b. 定率法
定率法は、毎年残存価額に一定の償却率をかけて減価償却費を計上する方法で、使用初年度に多くの経費が計上できるため、早期に費用化したい資産に向いています。
例えば、設備投資や車両など、減価が早い資産に適用されます。
- 計算式: (取得価額 - 累計減価償却額)× 償却率
- 例: 取得価額100万円、耐用年数5年の車両で償却率40%の場合、初年度の減価償却額は40万円(100万円 × 40%)となります。
4. 少額減価償却資産の特例を活用した節税対策
少額減価償却資産の特例を活用することで、30万円未満の資産については、通常の減価償却を行わず、
取得年度に全額を経費として計上できます。
年末に必要な備品や設備を購入し、節税対策に活かしましょう。
a. 少額減価償却資産の対象
少額減価償却資産の特例は、青色申告を行っている個人事業主が利用可能で、1つあたり30万円未満の固定資産を取得した場合に適用できます。
- 対象例: パソコン、プリンター、オフィスチェア、照明器具など。
- 取得価格が30万円未満であれば、購入した年に全額を経費として計上可能です。
b. 経費計上のメリット
この特例を活用することで、年末に購入した資産も当年の経費として一括計上でき、課税所得を減らすことができるため、税負担の軽減に役立ちます。
5. 固定資産の管理を効率化する方法
年末の固定資産の確認や減価償却は毎年必要な作業ですが、効率化するために固定資産管理ソフトを導入すると便利です。
また、クラウド会計ソフトを利用している場合、固定資産管理機能が備わっているものもあります。
a. 固定資産管理ソフトの導入
固定資産管理ソフトでは、資産の購入日や取得価格、耐用年数を入力するだけで、毎年の減価償却額が自動で計算されます。
定額法や定率法の設定もでき、事業の負担を減らせます。
b. 資産台帳の作成
固定資産台帳を作成し、保有している資産を一覧で管理しましょう。
台帳には、資産の取得日や取得価格、耐用年数、残存価額などを記載し、毎年の棚卸しや経費計上の確認に活用します。
6. 年末に向けた減価償却のスケジュール確認
年末は、固定資産の減価償却を確認する良い機会です。経理作業をスムーズに進めるために、
年末までに減価償却の計算が完了するよう、スケジュールを立てて取り組みましょう。
a. 経費計上のタイミング
減価償却は、期末にまとめて計算するよりも、毎月の会計処理に組み込むことで記帳の負担が減ります。
年末に固定資産を確認し、来年からは月次で減価償却を計上するスケジュールを組むと効率的です。
b. 税理士や専門家に相談する
固定資産の減価償却には、計算ミスがないよう正確な処理が求められます。
疑問点がある場合は、税理士に相談し、税務リスクを防ぎながら正しい経理処理を行いましょう。
まとめ
年末の固定資産の確認と減価償却の見直しは、翌年の経営において非常に重要な準備です。
保有している固定資産を正確に把握し、適切な減価償却を行うことで、経費を計上しながら節税効果を最大限に引き出せます。
また、少額減価償却資産の特例を活用するなど、年末に向けた節税対策を行うことも有効です。
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