配偶者控除と配偶者特別控除の違い—個人事業主にも役立つ節税対策の基本
2024/10/10
配偶者控除と配偶者特別控除は、所得税や住民税を計算する際に、配偶者がいる納税者が適用できる所得控除の制度です。
これらの控除を適切に利用することで、所得税や住民税の負担を軽減することができるため、
個人事業主や給与所得者のどちらにとっても大切な節税対策となります。
この2つの控除は、どちらも「配偶者の所得」が重要な要素となりますが、その適用条件や控除額には違いがあります。
今回は、配偶者控除と配偶者特別控除の違い、各控除の適用条件、そして活用のポイントについて詳しく解説します。
1. 配偶者控除とは?
配偶者控除は、配偶者の所得が一定の範囲内である場合に、配偶者を扶養する納税者の所得から控除が受けられる制度です。配偶者控除が適用されるためには、配偶者の年間所得が48万円以下(給与収入の場合は103万円以下)であることが条件です。
a. 配偶者控除の適用条件
配偶者控除を受けるための主な条件は以下のとおりです。
- 納税者本人に配偶者がいること。
- 配偶者の年間所得が48万円以下(給与所得者であれば、給与収入が103万円以下)。
- 納税者の年間所得が1,000万円以下であること(合計所得金額)。
ここでの「所得」とは、給与収入から給与所得控除を差し引いた後の金額を指します。
たとえば、配偶者がパートで働いている場合、年間の給与収入が103万円を超えなければ、配偶者控除を適用できます。
b. 配偶者控除の控除額
配偶者控除の控除額は、納税者の所得額によって異なります。
- 納税者の所得が900万円以下の場合: 配偶者控除額は38万円。
- 納税者の所得が900万円超950万円以下の場合: 配偶者控除額は26万円。
- 納税者の所得が950万円超1,000万円以下の場合: 配偶者控除額は13万円。
配偶者控除は、配偶者の所得が48万円以下で、納税者の所得が1,000万円以下の場合に適用されます。
2. 配偶者特別控除とは?
配偶者特別控除は、配偶者の所得が48万円を超えて133万円以下の場合に、配偶者控除の代わりに適用される制度です。
つまり、配偶者の所得が控除額の制限を超えた場合でも、一定範囲内であれば配偶者特別控除を受けることが可能です。
a. 配偶者特別控除の適用条件
配偶者特別控除を受けるための主な条件は以下のとおりです。
- 納税者本人に配偶者がいること。
- 配偶者の年間所得が48万円を超え133万円以下(給与所得者の場合、給与収入が103万円を超え201万円以下)。
- 納税者の年間所得が1,000万円以下であること。
配偶者特別控除は、配偶者控除の適用範囲を超えても、一定の範囲内で所得税や住民税を軽減することができるため、配偶者がパートなどで一定の収入を得ている家庭にとって、非常に有効な制度です。
b. 配偶者特別控除の控除額
配偶者特別控除の控除額は、配偶者の所得と納税者の所得によって決まります。配偶者の所得が増えると、控除額は段階的に減少しますが、配偶者の所得が133万円を超えると配偶者特別控除は適用されなくなります。
- 配偶者の所得が48万円超95万円以下(給与収入であれば103万円超150万円以下): 控除額は最大38万円。
- 配偶者の所得が95万円超100万円以下(給与収入であれば150万円超155万円以下): 控除額は36万円。
- 配偶者の所得が100万円超105万円以下(給与収入であれば155万円超160万円以下): 控除額は31万円。
- このように、配偶者の所得が増えるに連れて、控除額は段階的に減少します。
3. 配偶者控除と配偶者特別控除の違い
配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の所得に応じて適用される控除制度です。両者の違いを整理すると、以下のようになります。
項目 | 配偶者控除 | 配偶者特別控除 |
---|---|---|
配偶者の所得要件 | 年間所得48万円以下(給与収入103万円以下) | 年間所得48万円超133万円以下(給与収入103万円超201万円以下) |
納税者の所得要件 | 年間所得1,000万円以下 | 年間所得1,000万円以下 |
控除額の変動 | 所得に応じて38万円、26万円、13万円 | 配偶者の所得に応じて段階的に減少 |
配偶者の所得が48万円以下の場合は配偶者控除が適用され、配偶者の所得が48万円を超えて133万円以下の場合には配偶者特別控除が適用されます。控除額は配偶者の所得が増えるに連れて減少しますが、配偶者が一定の収入を得ている場合でも控除を受けられる点が、配偶者特別控除の特徴です。
4. 配偶者控除と配偶者特別控除を活用するためのポイント
配偶者控除と配偶者特別控除を上手に活用するためには、以下のポイントに注意しましょう。
a. 配偶者の収入を計画的に調整する
配偶者の所得が103万円以下の場合は、配偶者控除の適用を受けることができますが、103万円を少しでも超えると配偶者特別控除に切り替わります。
このため、配偶者の収入を計画的に調整することが重要です。
- 103万円の壁: 配偶者の収入を103万円以下に抑えられる場合は、配偶者控除が適用されますが、収入を超える場合でも配偶者特別控除が適用されるため、無理に収入を抑える必要はありません。配偶者特別控除の範囲内であれば、働く時間を増やしても一定の控除が受けられるため、家庭の事情に応じて収入を調整することが可能です。
b. 確定申告や年末調整を正しく行う
個人事業主の場合、確定申告を通じて配偶者控除や配偶者特別控除を申請する必要があります。給与所得者の場合は、年末調整を通じて適用を受けられますが、申請を忘れると控除を受けることができなくなるため、正確な手続きを心掛けましょう。
- 年末調整の配偶者控除申告書: 年末調整の際に提出する「扶養控除等(異動)申告書」をしっかり記入することが大切です。特に、配偶者の所得状況を正確に把握して申告しましょう。
c. 家計全体での節税効果を考える
配偶者控除や配偶者特別控除は、家庭全体の収入と税負担を最適化するための制度です。
配偶者の収入をどう調整するかによって、所得税や住民税の負担額が変わりますので、夫婦でよく話し合い、最も有利な選択肢を見つけることが大切です。
まとめ
配偶者控除と配偶者特別控除は、配偶者の収入に応じて使い分けることができる所得控除の制度です。
配偶者の収入を正確に把握し、適切な控除を選ぶことで、税負担を効果的に軽減することができます。
個人事業主や給与所得者のどちらにとっても重要な節税対策となるため、控除の適用条件や控除額の変動をしっかり理解し、賢く活用しましょう。
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