個人事業主は労災保険に加入できる?
2023/09/06
労災保険とは
労災保険とは、雇用されている立場の人が仕事中や通勤途中に起きた出来事に起因したケガ・病気・障害、
あるいは死亡した場合に保険給付を行う公的保険制度です。
労災保険は、事業主に加入義務があり、強制加入です。
労働者を雇用する全ての事業主は、労災保険に加入しなければなりません。
保険料も全額が事業主負担となります。
その対象は大きく、仕事中の「業務災害」と、通勤途中の「通勤災害」に分かれています。
しかし労働者と同様に保護ために、中小事業主や一人親方など、
特定作業従事者などに対して認められているのが労災保険の特別加入です。
近年は対象範囲が拡大し、原付・自転車での貨物運送事業者などの個人事業主も特別加入できます。
労災保険の特別加入とは
労災保険の対象となるのは、労働基準法上の労働者です。
しかし、労働基準法上の労働者ではないものの労働者と同じように労災保険の対象とすべき者に対して、
特別加入という制度が設けられています。
労災保険の特別加入は、実際の業務の状況、労災の発生状況から労災保険の対象とすることが適当であるとして設けられている制度で、加入は任意となっています。
・中小事業主等の特別加入
・一人親方等の特別加入
・特定作業従事者の特別加入
・海外派遣者の特別加入
の4種類があります。
労災保険の補償内容
①療養補償給付
ケガや病気が治癒するまでの療養の現物給付(労災病院、労災指定医療機関の場合)またはその費用が給付されます。
②障害補償給付
・障害補償年金
ケガや病気が治癒(症状固定)した後に障害等級第1級から第7級までに該当する障害が残ったとき、
障害補償年金が給付されます。
・障害補償一時金
ケガや病気が治癒(症状固定)した後に障害等級第8級から第14級までに該当する障害が残ったとき、
障害補償一時金が給付されます。
③休業補償給付
ケガや病気の療養のため労働することができず、賃金を受けられないときに、
休業4日目から給付されます。
④遺族補償給付
死亡したときには、遺族の人数などに応じた遺族補償年金と遺族特別年金、遺族特別支給金が給付されます。
ただし、遺族補償年金を受けることができる遺族は、亡くなった人の配偶者(内縁関係を含む)や18歳の3月31日までの子や60歳以上の父母などで、死亡当時その収入によって生計を維持されていた人に限られます。これらに該当する遺族がいない場合には、遺族補償一時金が遺族に給付されます。
⑤葬祭料
死亡した人の葬祭を行うときに、葬祭を行う者に対して給付されます。
葬祭を行う人に、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額または給付基礎日額の60日分の額のいずれか高い方の額が支給されます。
⑥傷病補償年金
ケガや病気が療養開始後1年6か月経過しても治っていない場合や、障害等級に該当する場合に、
障害の程度に応じて給付されます。
⑦介護補償給付
障害補償年金または傷病補償年金受給者のうち、障害等級が第1級の者、または第2級の精神・神経障害および胸腹部臓器障害の者が、現に介護を受けているときに給付されます。
ただし、病院などに入院中や障害者支援施設で生活介護を受けている場合や特別養護老人ホームなどに入所している場合には、施設において十分な介護サービスが提供されているものと考えられるなどの理由により給付されません。
⑧その他の給付
・二次健康診断等給付
直近の定期健康診断などにおいて、血圧、血中脂質、血糖、肥満にかかる測定のすべての検査で異常値と診断されていながら、脳血管疾患または心臓疾患の症状を有していないときに給付されます。
個人事業主が労災保険に入るメリット
労災保険は労災事故があった場合などに給付を行う、政府が管掌する社会保険制度です。
労働基準法上の労働者を対象にしているため、本来であれば個人事業主は加入できません。
しかし、一定の個人事業主は任意で労災保険に特別加入することができます。個人事業主による労災保険の特別加入には、メリットがあります。
・手厚い補償が受けられる
労働者を保護する目的から、労災保険の給付内容はとても手厚いものになっています。
個人事業主も労災保険へ特別加入することで、万が一の場合に備えることができます。
・安心して加入できる
労災保険は政府管掌であるため、安心して加入できます。
まとめ
個人事業主は本来、労災保険に加入できません。
しかし近年は範囲が拡大され、原付・自転車での貨物運送事業者、芸能関係作業従事者、アニメーション製作作業従事者、創業支援等措置に基づき事業を行う者、ITフリーランス、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師、歯科技工士が加入できるようになりました。
労災保険に特別加入することによって、
個人事業主でも仕事中にケガをした場合に手厚い補償を受けることができます。
政府が管掌しているため、安心して加入できる点も大きなメリットです。
対象になっている個人事業主は、活用を検討してみましょう。
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