役員報酬は変更できる?
2023/09/05
役員報酬とは
役員報酬とは、取締役や監査役といった役員に対して支給される報酬のことをいいます。
それに対して、給与は従業員に対して支給される労働の対価のことです。
自分が社長となれば、会社員のときは「給与」だったものを、
「役員報酬」としてを受け取ることになります。
役員報酬の自分で金額は好きに決めることができますが、決め方にはポイントがあります。
オーナー企業の役員は自分の報酬を自分で決定することができてしまいます。
そうすると、たとえば、親族である役員にその業務に見合わない不当に高すぎる役員報酬を支給することもできてしまいます。
また、決算間近になって、会社に利益がたくさん出そうだから、役員報酬を多く支給して、
会社の税金を減らそう、ということも可能です。
このように役員報酬が調整などに使われることを防ぐために、
税務上は従業員に対する給与と役員報酬では取扱いが異なります。
役員報酬の金額を慎重に考える必要があるのかというと、節税のためです。
役員報酬を支払い過ぎれば自分の所得税としてたくさん税金を支払うことになります。
その一方、役員報酬をほとんど支払わず、会社に利益としてお金が残れば、
法人税として支払うことになります。
そのため、双方の税額を考慮した上で自分に払う役員報酬を決める必要があるのです。
役員報酬の決め方
役員報酬の金額は期首の3か月のあいだしか決められまえん。
なぜなら、役員報酬は税金をコントロールするために使えるからです。
つまり、期末の利益が見えてきた段階で役員報酬をコントロールし、
節税するのを防ぐ意味があります。この最初の3か月に今期の業績を見通し、
妥当な範囲で役員報酬を決めておきましょう。
期首に自分や他の役員の報酬を決めたら、「事前確定届出給与に関する届出」という届け出を出します。
(役員報酬は株主総会で決めます。)
この通りに支給されたお金が損金として認められます。
また、役員報酬を決めたことを株主総会の議事録にも残しておきましょう。
期中にどうしても役員報酬を減額しなければならない場合は、
「臨時改定事由」として変更したことを届け出れば、役員報酬を損金にすることができます。
この手続きをしないと経費にできなくなりますので、お気を付けましょう。
この場合、期中の株主総会で役員報酬を下げることを決定してから、1カ月以内に届出を提出します。
役員報酬の勘定科目
役員報酬を支給したときは、通常、販売費及び一般管理費の「役員報酬」の勘定科目に計上します。
ただし、製造原価報告書を作成しているような会社で、
製造担当の役員に対して報酬を支給したときは、製造原価の「役員報酬」の勘定科目に計上することもあります。
役員報酬には税務上のルールが設けられており、役員報酬で損金にできる(法人税等の計算にあたって経費として認められるもの)ものは次の3種類に限られています。
1.定期同額給与
原則として、一年間、毎月一定額を支給しているもの。残業代やボーナスなどより、受け取る額が変動することはありません。
2.事前確定届出給与
原則役員に支給されるボーナスは損金として算入されませんが、予め、所定の時期に一定額を支給するものとして税務署に届出しているものは認められます。ただし、届け出た金額・日時を変更することはできません。
3.利益連動給与
会社が得た利益(業績)に連動して決まる役員報酬の事で、有価証券報告書に記載される指標などをもとに算定され支給されるもの。ただし同族会社は損金として算入できません。
また、上記に当たるものでも、職務に照らして不当に高いと認められるものも損金とはなりません。
3.の利益連動給与は有価証券報告書を作成していなければなりませんので、通常は上場会社等のみでしか用いることができません。
また、2.の事前確定届出給与は、従業員への賞与の支給時期と合わせて役員にも賞与を支給するような場合に、予め支給時期と支給額を届出しておけば、後で恣意的に変更できないので、損金として認めらえる、というものです。
まとめ
役員報酬は金額を自身で決める事ができますが、原則として1年間の中で、
常に同じ額を支払い続けなくてはなりません。
1年間の中で、役員報酬を変えてしまうと損金にできない可能性があります。
また、やむをえず減額する場合はきちんとした手続きをするのを忘れずに行いましょう。
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